2012年05月07日

新連載:検証、少年犯罪シリーズのお知らせ

 『数字と踊るエリ』に書かれた内容以前の物語(エリ0歳時)の連載終了(講談社の編集担当者からダメ出しが出たところで終わっているので、中断と言った方がいいのかも知れませんが)に伴い、新たな連載を開始しようと思います。
これは、少年犯罪を一つ検証したところでいったん区切りがつきますので、「シリーズ」とした方がいいのかも知れません。
 10年ぐらい前に中央公論他雑誌に発表したものが中心なので、事件としてはやや古いものが多いです。僕の最近の少年犯罪への関心は「減刑カードとしてアスペルガー障害診断が濫発され、偏見を招いている」というところにありますが、それはところどころにしか出てきません。
 昔はそのような問題はありませんでしたから。
 とりあえず、次のような構成を予定しています。佐賀バスジャック事件が多いのは、僕が佐賀に複数回取材にゆき、あちこちの雑誌に発表したからです。
 
京都16歳少女手斧父親警官殺害事件
会津若松母親頭部切断事件
佐賀バスジャック事件検証第一弾
豊川主婦「体験殺人」事件検証
佐賀バスジャック事件検証第二弾
長崎男児投げ落とし殺人事件検証
佐賀バスジャック事件検証第三弾
佐世保6年生女子児童殺害
少年犯罪には認知行動療法的視点が必要だ
大分一家六人殺傷事件を取材して−他者を求めた少年の犯罪
佐賀バスジャック事件検証第四弾
歌舞伎町ビデオ店爆破事件

2012年05月05日

自閉児連載80 僕の中の怒れるけだものは、

『数字と踊るエリ』に書かれた内容以前の物語(エリ0歳時)79 職員有志の先頭に立って、経営者に詰め寄った時もそうだった。僕は実は、全然怒りにかられてなどいなかった。ただ、そうするのが一番経営者にプレッシャーをかけられると計算したからこそ、腹から絞り出すような怒鳴り声を出して見せた。僕は、冷酷になること
ができる人間だった。目的に達するために、何が一番効率的なのか、それ以外のことを振り捨てることはいとも簡単だった。
 多分、そうすることができたのは、僕の底に渦巻く怒りの感情だ。病院が倒産した後、そんな必要がなくなって、僕は自分のそういうところが嫌いになった。いざとなれば、冷たく計算しながら平気で嘘をつくことすら厭わない、そういう自分が嫌だった。
 純粋なものにあこがれた。笑う時に腹の底から笑い、悲しい時に人目も気にせずに大泣きできる人間がまぶしかった。だから、妻を愛した。だが、ついさっき、俺は大切なもう一つの純粋なものを・・・。